2016年9月28日 更新

ハーバード大学画像処理センター長によるX線CT / 画像診断の最新技術講演会

ハーバード大学医学部画像処理センター長であるRajiv Gupta氏のご来日に合わせて、エルピクセル株式会社主催の講演会が開催されました。

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<講演概要>

2014年11月に日本でも旧薬事法の改正(厚生労働省通知はこちら)によりソフトウェアが医療機器として認可されるようになったが、米国では5年前に既にソフトウェアが認可されている。
ソフトウェアをはじめ最新の技術は、米国が先んじており、米国の最新事例を知ることは日本の医療に携わる人にとって重要である。
医療のコストはOECDの調査によると年々上昇しているが、費用対効果はそれほど上がっていない現状がある。1ドルで受けられる医療サービスの質は相対的に下がっていると言って良い。医療のような労働集約型の産業におけるこのような現象をBaumol's Effectと呼ぶが、医療とテクノロジーの関係性を統合させることで、よりよい医療が提供出来るようになるのではないだろうか?
 (1268)

医療の最新技術から今後の流れを見ていこう。

「medical technology (医療テクノロジー) 」から「technical medicine (テクニカル医療) 」へ

既に確立された医療テクノロジーをもとに診療行為が行われている。しかし、新しいテクノロジーを積極的に取り入れることでこれまでに無かった新しい医療(テクニカル医療)が提供出来るようになるかも知れない。
 (1273)

X線解剖が出来るようになったことで、身体の中を切らずに身体の内部の情報を知ることが出来るようになった。これが「テクニカル医療」の先駆けである。

「テクニカル医療」の最近の例では、ECoG(Electrocorticogram 硬膜下皮質表面電位) Gridという開頭手術中に大脳皮質の刺激電位を調べる技術がある。CTやMRIで脳断面の情報を取得したい時にGridの金属が原因となってアーチファクトが生じてしまう(メタルアーチファクト、磁化率アーチファクトはどうしても避けられない)。そこで、半導体を用いた薄膜プリンティングをGridに用いれば、アーチファクトが手術に影響することがない。

こうした新しい医療技術は臨床試験を繰り返すことで実用化が進められる。

医療デバイス(モダリティ)の革新

医療デバイスの流れは2つある。より低コストで可搬型のモダリティが開発される流れと、より高度な情報を統合させるモダリティの開発の流れである。

例えば、最近では、頭部専用のポータブルMRIの導入が検討されている。このMRIは、77mTの低磁場下で磁石が回転することで傾斜磁場を用いずに画像化できる。このポータブルMRIのメリットは、低コストで導入出来、持ち運びが出来ることだ。持ち運び出来ることで、検査室以外でもMRIの検査を行うことが出来る。
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一方で、超大型のMRIも研究目的で開発されている。この大型MRIを用いて拡散テンソルイメージングをより高精細に撮像し、人間の脳の働きを調べるプロジェクト(Human Connectome Project)が米国で進められている。74MWの電力(原子力潜水艦と同じレベル)を用い、非常に大きな磁場(300mT/m)をかけることが出来る。このMRIを用いることで、細い神経線維の走行まで調べることが出来るので、脳が人によってどう違うのか調べることが出来るだろう。
Human Connectome Project

Human Connectome Project

X線位相イメージング

Rajiv Gupta先生の論文は以下を参考頂きたい。
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エルピクセル編集部 エルピクセル編集部