2016年9月29日 更新

医用画像位置合わせの基礎④ 〜LPixel ImageJ pluginを用いた画像位置合わせ〜

今回は、ImageJという画像解析ソフトを使った画像位置合わせについてご紹介します。

17,363 view お気に入り 1
今回は、ImageJという画像解析ソフトを使って、画像位置合わせにトライしてみようと思います。

従来のImageJには、画像位置合わせの機能が搭載されていませんでした。
ところが、ImageJは、Pluginとして自作した機能を追加することができるのです。
今回は、Lpixel社が開発・公開しているPluginの中で、画像位置合わせのPluginを使ってみようと思います。
ImageJへのPluginのインストールについては、下記のリンクを参照してください。
今回は、脳MRI画像を縦、横にそれぞれ30(pixels)平行移動させた画像を元画像に位置合わせする、という操作を行ってみます。

図1は、Plugin(Lpx registration)をインストールした状態です。左の画像は、(上)元画像と(下)移動画像です。右下方向に平行移動しているのがわかると思います。この2つの画像を位置合わせしようと思います。
 (1669)

図1. 元画像と移動画像(左)pluginインストール時の表示(右)
① まず、元画像と移動画像をStackさせます。つまり、2枚の画像を積み重ねて1つのセットにして、図2左上(Stack)のようにします。わかりやすくするため、Stack画像を透かしてみると、図2の左下(SUM_Stack)のようになり、ずれているのが分かります。

②そして、図2右のparmsに示すようにパラメータを設定します。
modeは、[serialShiftXy]を選択します。
ssxyModeは、[getShiftMap]を選択します。これは、XY方向へのズレの度合(画像類似度)を表す画像を取得するモードです。
calcMethodは、計算領域を縮小し、時間を短縮できる[pso]を選択します。
tileAsは、[stack]を選択します。
similarityは、2つの画像の類似度の評価関数を意味し、16種類から選択できますが、今回はzncc(正規化相互相関)を用います。
 (1673)

図2. 元画像と移動画像のStack(左)とパラメータの設定(右)
[OK]をクリックすると、図3のような分布が現れます。これは、移動画像を移動させた時の元画像と移動画像の相互相関値と移動量の関係を表したものです(原点は画像中央の十字マーク)。
その証拠に、図3画像中央から左方向と上方向にそれぞれ30 pixels移動した点が、相互相関値が1.0(最大の類似度)となっています。
 (1676)

図3. 移動画像を移動させた時の元画像と移動画像の相互相関値(zncc)の分布(右)
では、この画像類似度の分布を用いて、画像位置合わせを行うモードに移りましょう。
パラメータは図4のようになります。
図2と変わったところは、
ssModeは、[useShiftMap]を選択します。これは、画像類似度分布を用いて位置合わせを行うモードです。
Shiftmapは、画像類似度分布(今回は、[Stack_ssxyGetMapPso@zncc@1])を選択します。
 (1680)

20 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧まとめ

医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧まとめ

今回は、「医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧」の総まとめです。医用画像処理に興味を持ってもらえたり、ImageJに触れたり、研究を始めるきっかけになれば、幸いです。
木田智士 | 14,440 view
LP-tech2周年記念#人気記事のまとめ#第20位〜第16位

LP-tech2周年記念#人気記事のまとめ#第20位〜第16位

LP-techが始まってから2周年を迎えました。ここまでLP-techを続けることができたのも読者の皆様のおかげだと思っています。そこで、LP-techの感謝祭ということで、人気の記事を第20位から第1位までをご紹介します。今回は第20位〜第16位までです。
医用画像位置合わせの基礎⑧〜非線形変換を用いた画像位置合わせ〜

医用画像位置合わせの基礎⑧〜非線形変換を用いた画像位置合わせ〜

今回は、非線形な画像変換を用いた位置合わせをご紹介します。
木田智士 | 33,282 view
医用画像位置合わせの基礎⑤~Fiji pluginを用いた画像位置合わせ~

医用画像位置合わせの基礎⑤~Fiji pluginを用いた画像位置合わせ~

前回紹介した、LPixel社のImageJ registration pluginに引き続き、今回は、FijiというImageJの拡張版ソフトを使った画像位置合わせをご紹介します。
木田智士 | 22,118 view
細胞の移動量を調査

細胞の移動量を調査

細胞の移動量(動態解析)についてご紹介します。動態解析とは、観察している対象物の経時的な変化を調べる為に行います。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

木田智士 木田智士