近年、放射線診断や放射線治療において、医用画像位置合わせは重要な技術になってきています。ここでは、医用画像解析に興味のある学生や研究者のために、医用画像位置合わせに必要な基礎知識についてまとめました。今回は、画像位置合わせに用いられる「画像の類似度の指標」を中心に紹介します。
2つの画像間で、片方の画像を移動、回転、変形させることにより、もう片方の画像に合わせこむ手法を画像位置合わせ(Registration)と言います。このRegistrationの技術は、医療現場において、様々なモダリティーから得られた画像の重ね合わせ(例えば、CT画像とMRI画像、MRI画像と PET画像など)に用いられています。
これらの画像の重ね合わせにより、ある組織においてCT画像では判別しにくい構造や機能をMRIやPET画像からより詳細に判別する、ということが可能になります(図1参照)。また、同一人物の別の日時に撮影された画像同士をRegistrationで合わせこむことによって、臓器がどのくらい変形・移動したかを見積もることができ、それらを考慮した診断・治療が可能となります。
2つの画像間で、片方の画像を移動、回転、変形させることにより、もう片方の画像に合わせこむ手法を画像位置合わせ(Registration)と言います。このRegistrationの技術は、医療現場において、様々なモダリティーから得られた画像の重ね合わせ(例えば、CT画像とMRI画像、MRI画像と PET画像など)に用いられています。
これらの画像の重ね合わせにより、ある組織においてCT画像では判別しにくい構造や機能をMRIやPET画像からより詳細に判別する、ということが可能になります(図1参照)。また、同一人物の別の日時に撮影された画像同士をRegistrationで合わせこむことによって、臓器がどのくらい変形・移動したかを見積もることができ、それらを考慮した診断・治療が可能となります。
図1. 前立腺近傍における、CT画像(左)とMRI画像(右)のRegistration。図中の紫色、赤色は、それぞれCT画像とMRI画像に基づいて囲まれた前立腺の領域。青色は、CT-MRI重ね合わせ画像に基づいて囲まれた直腸の領域 [1]。
Registrationのアルゴリズムを端的に言えば、2つの画像の類似度を最大化するように、片方の画像に変換行列(ここでは並進、回転に限る)を施すということになります。
変換行列についての詳細は、また次回以降に述べることにして、今回は、画像間でのRegistrationに使われる画像の類似度の指標(評価関数)の代表的なものを紹介しようと思います。
変換行列についての詳細は、また次回以降に述べることにして、今回は、画像間でのRegistrationに使われる画像の類似度の指標(評価関数)の代表的なものを紹介しようと思います。
以下、2つの画像A(x)、B(x)において、A(x)を固定して、B(x)を変換行列TによってA(x)に向けてRegistrationする場合を考えます。B(x)の変換後の画像をB^T(x)と表します。
(ここで、xは画素の位置を表し、A(x)、B(x)、B^T(x)は画素値を表します。)
(ここで、xは画素の位置を表し、A(x)、B(x)、B^T(x)は画素値を表します。)
では、類似度の評価関数を見ていきましょう。
1. 差分二乗和 (SSD:Sum of Squared Difference)
同じ位置の画素の画素値の差の2乗の総和で表され、値が0に近い程、類似度は高くなります。2つの画像の違いがガウシアンノイズ程度である時に適した指標です。
2. 差分絶対値和(SAD : Sum of Absolute Difference)
同じ位置の画素の画素値の差の絶対値の総和で表され、SSDと同じく、値が0に近い程、類似度は高くなります。SSDに比べて、画素値に大きな違いがある画素(外れ値)の影響を受けにくい特徴があります。
3. 正規化相互相関(NCC: Normalized Cross-Correlation)
上式は、2つのベクトルの内積を表す式 、