2018年4月20日 更新

2018 国際医用画像総合展(ITEM)報告レポート②  〜日立製作所のAI開発〜

4/13~4/15にパシフィコ横浜で開かれたITEMに行ってきました。画像診断支援AI技術開発の各企業の動向についてレポートします。今回は、日立製作所です。

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パシフィコ横浜で開かれたITEM2018(4/13~4/15)に行ってきました。
今回の学会テーマは、「夢のような創造科学と人にやさしい放射線医学」。大企業を中心に多くの企業で、画像診断支援AI関連の展示・プレゼンに力が入っていました。機器展示会場だけでなく、ランチョンセミナーにおいても、各企業が画像診断支援AIの現状と方向性をプレゼンし、どこも超満員の大盛況となっていました。
今回は、前回の富士フイルムに引き続き、日立製作所のAI開発の動向についてレポートします。

日立製作所の医療用AI開発

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 この〜木なんの木でお馴染み、Inspire the Next 日立製作所です。今回、最もステージパフォーマンスのクオリティが高かった様に思います。写真のEMIEW(エミュー)3くん(下図参照)は、人間と同じ速度で歩く事ができ、我々が病院で迷子にならないように、案内してくるとのこと。「次はCT検査です。突き当たりのエレベーターで2階に降りましょう。」とか、「これから放射線治療を始めます。ご気分はいかがですか?」とか、しまいには、放射線治療室にまで入ってきて「治療中何かありましたら、声をかけてくださいね。」と、かなりの献身ぶりを発揮してくれるようです。声が機械っぽい声ではなくて、小さい男の子っぽい声だったので、嫌な感じはせず、親しみが湧きました。様々な言語にも対応しているそうです。
ヒューマノイドロボット「EMIEW3」

ヒューマノイドロボット「EMIEW3」

日立が開発した接客・案内サービス用の人型ロボット。
多言語に対応した対話機能を有しており、病院内においても、献身的な働きが期待されている。

日立製作所の医用画像診断支援AIの開発

 日立も他の大企業と同じく、AIによる画像診断支援に取り組んでいます。特徴は、医師が普段の読影で用いている目のつけどころ(特徴量)に基づいた分類方法(ルールベース法)とディープラーニングによる分類方法を合わせた学習を行っている点です。展示では「Hybrid learning」と名付けられていました。

 ディープラーニングを用いたAIでは、学習データさえ与えれば、勝手に学習してくれるため、その学習過程がブラックボックスになっており、AIがその診断を下した理由を医師は理解できない、という問題がありました。そこで、医師の知見に基づいた特徴量による分類方法(ルールベース法)をベースに、判別困難な病変の検出はディープラーニングで補う、という作戦をとっているようです。確かに、この方法なら、検出された病変の特徴を医師が理解しやすいため、AIの診断の根拠を把握しやすくなるでしょう。但し、Deep learningのみで検出され、ルールベース法では検出困難な病変に関しては、やはり診断根拠の説明は難しいと考えられます。

 また、このように医師の知見とディープラーニングを併用する事で、比較的少ない画像データ数でも、高い病変検出精度が期待できるため、データ量の確保が困難なレアな症例に対しても対応可能になってくる可能性はあります。現在、学習に用いている画像データに関しては、日立グループの関連病院から提供してもらっているものも多い、とのことです。
 画像診断支援AI開発の進捗を担当者に聞いたところ、白質病変、脳動脈瘤、肺がん、筋肉解析の診断支援AIに関しては、薬機法さえ通れば、1年後にでも製品化して世に出したい、とおっしゃっていました。かなり完成に近い段階まで来ているということかもしれません。その次の段階として、2~3年後を目指して乳がんや認知症の診断支援AIを出して行きたい、とのことでした。また、Cloudを用いた解析や、どの企業のPACSでも使えるベンダーフリーなAIアプリケーションを目指している、とのことで、今後の展開が期待されます。


次回は、キヤノンメディカルの医療用AI技術について報告します!
乞うご期待!!
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