パシフィコ横浜で開かれたITEM2018(4/13~4/15)に行ってきました。
今回の学会テーマは、「夢のような創造科学と人にやさしい放射線医学」。大企業を中心に多くの企業で、画像診断支援AI関連の展示・プレゼンに力が入っていました。機器展示会場だけでなく、ランチョンセミナーにおいても、各企業が画像診断支援AIの現状と方向性をプレゼンし、どこも超満員の大盛況となっていました。
各企業のAI開発の動向について、数回に分けて企業ごとにレポートします。
今回の学会テーマは、「夢のような創造科学と人にやさしい放射線医学」。大企業を中心に多くの企業で、画像診断支援AI関連の展示・プレゼンに力が入っていました。機器展示会場だけでなく、ランチョンセミナーにおいても、各企業が画像診断支援AIの現状と方向性をプレゼンし、どこも超満員の大盛況となっていました。
各企業のAI開発の動向について、数回に分けて企業ごとにレポートします。
富士フイルムの医用画像診断支援AIの開発
富士フイルムは、「写るんです」でお馴染みの日本の誇るカメラメーカーですが、医療分野に応用する取り組みも長年行ってきました。また現在、医用画像診断を支援するAIを開発中です。開発中のAIの名称は、REiLI(伶俐)。日本語で、「聡明で賢い」という意味だそうです。
展示ブースでは、以下の3つの領域におけるAI開発を紹介していました。
① 臓器セグメンテーション(領域抽出)
臓器ごとの正確かつ高速なセグメンテーションは、放射線診断、放射線治療の両方において必須技術です。例えば、放射線診断における画像診断支援AIの開発においては、肺がんの検出なら肺を、肝臓がんの検出なら肝臓を、脳動脈瘤なら脳の血管を正確に抽出する事がAIに学習させる際の出発点になります。また、放射線治療においても、臓器ごとに与える線量の正確な計算シミュレーションに必須の技術です。個人差、疾患の有無、撮影条件の違いなどに影響を受けにくい(ロバストな)臓器抽出技術が開発されています。富士フイルムは、臓器セグメンテーション技術の蓄積があるので、AI技術と組み合わせて、さらなる精度・速度の向上を図ろうということでしょう。
臓器ごとの正確かつ高速なセグメンテーションは、放射線診断、放射線治療の両方において必須技術です。例えば、放射線診断における画像診断支援AIの開発においては、肺がんの検出なら肺を、肝臓がんの検出なら肝臓を、脳動脈瘤なら脳の血管を正確に抽出する事がAIに学習させる際の出発点になります。また、放射線治療においても、臓器ごとに与える線量の正確な計算シミュレーションに必須の技術です。個人差、疾患の有無、撮影条件の違いなどに影響を受けにくい(ロバストな)臓器抽出技術が開発されています。富士フイルムは、臓器セグメンテーション技術の蓄積があるので、AI技術と組み合わせて、さらなる精度・速度の向上を図ろうということでしょう。
② 病変検出
いわゆるコンピューター診断支援(CAD:computer-aided diagnosis)と呼ばれるものです。①で抽出された臓器から病変を正確に抽出するところに、様々な技術が駆使されます。最近では、ディープラーニングが特に注目されていますが、ディープラーニングだけでは高精度に病変を検出することは難しいのが現状です。これまで蓄積された特徴量を用いた分類手法とディープラーニングを組み合わせることによって、精度の向上を目指す必要があります。また、学習に用いる画像データの前処理、出力された画像の後処理の工夫も、検出精度に大きく影響してきます。さすがにこの検出アルゴリズムの詳細は、各社の企業秘密ですね。
また、病変を正確に抽出することによって、病変の性状を定量的に評価できます。例えば、「腫瘍の形状は径が3cmの球形で、辺縁は平滑である」というような読影レポートをAIが医師に提示するためには、病変を辺縁まで正確に抽出できるセグメンテーションの技術が必要です。この部分のディープラーニング技術の開発も加速的に進んでいます。
いわゆるコンピューター診断支援(CAD:computer-aided diagnosis)と呼ばれるものです。①で抽出された臓器から病変を正確に抽出するところに、様々な技術が駆使されます。最近では、ディープラーニングが特に注目されていますが、ディープラーニングだけでは高精度に病変を検出することは難しいのが現状です。これまで蓄積された特徴量を用いた分類手法とディープラーニングを組み合わせることによって、精度の向上を目指す必要があります。また、学習に用いる画像データの前処理、出力された画像の後処理の工夫も、検出精度に大きく影響してきます。さすがにこの検出アルゴリズムの詳細は、各社の企業秘密ですね。
また、病変を正確に抽出することによって、病変の性状を定量的に評価できます。例えば、「腫瘍の形状は径が3cmの球形で、辺縁は平滑である」というような読影レポートをAIが医師に提示するためには、病変を辺縁まで正確に抽出できるセグメンテーションの技術が必要です。この部分のディープラーニング技術の開発も加速的に進んでいます。
③ 読影レポート提案
上で述べたように、AIが解析した結果が文章や数字になって初めて、診断医はAIの判断を評価し、読影レポートにまとめる事ができます。大量に蓄積された過去の画像所見データ(読影レポート)を機械学習で学習させ、今回の画像にふさわしい画像所見(読影レポート案)を提案します。このように読影レポート作成を支援する事で、診断医の負担を大幅に軽減できます。
上で述べたように、AIが解析した結果が文章や数字になって初めて、診断医はAIの判断を評価し、読影レポートにまとめる事ができます。大量に蓄積された過去の画像所見データ(読影レポート)を機械学習で学習させ、今回の画像にふさわしい画像所見(読影レポート案)を提案します。このように読影レポート作成を支援する事で、診断医の負担を大幅に軽減できます。
これらは、AIによる画像診断支援の精度や実用性に直結してくるものなので、富士フイルムだけでなく、どの企業もそれぞれの精度向上に凌ぎを削っており、企業ごとに強みがある分野は異なると思います。
今回、富士フイルムの展示では、具体的な製品を展示していたわけではないので、具体的にどの段階までAI開発が進んでいるのかについてはよく分かりませんでした。ただ、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)さえ許せば、出来るだけ早く製品として市場に出したい」とおっしゃっていた担当者のお話から考えると、製品として臨床現場で用いられるようになるのも時間の問題かもしれません。
今回、富士フイルムの展示では、具体的な製品を展示していたわけではないので、具体的にどの段階までAI開発が進んでいるのかについてはよく分かりませんでした。ただ、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)さえ許せば、出来るだけ早く製品として市場に出したい」とおっしゃっていた担当者のお話から考えると、製品として臨床現場で用いられるようになるのも時間の問題かもしれません。
東京大学発ベンチャー「エルピクセル」と提携
via lpixel.net
また、富士フイルムは、ITEM初日の前日4月12日に、同じく医用画像の診断支援AI技術を開発している新進気鋭の東大発ベンチャー企業「エルピクセル」(https://lpixel.net) との提携を発表しています。
<ニュースリリース>
富士フイルム 東京大学発ベンチャー「エルピクセル」と提携 - AI技術を医療画像診断支援に活用
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1283.html?_ga=2.217764438.1999166437.1523798083-1153282934.1481778427
エルピクセルが開発する画像診断支援AI技術を、富士フイルムの医用画像情報システム(PACS)に搭載することを目指しています。PACSとは、簡単に言うと、CTやMRIで撮影された医用画像をサーバーに保管し、医師が院内の端末でそれらを読み出して読影するためのシステムのことです。自社内でのAI技術開発に留まらず、幅広い疾患に対応するために、国内外の企業の優れたAI技術を自社のPACS上で利用できるようにしていくようです。
次回は、日立の医療用AI技術について報告します!
乞うご期待!!
<ニュースリリース>
富士フイルム 東京大学発ベンチャー「エルピクセル」と提携 - AI技術を医療画像診断支援に活用
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1283.html?_ga=2.217764438.1999166437.1523798083-1153282934.1481778427
エルピクセルが開発する画像診断支援AI技術を、富士フイルムの医用画像情報システム(PACS)に搭載することを目指しています。PACSとは、簡単に言うと、CTやMRIで撮影された医用画像をサーバーに保管し、医師が院内の端末でそれらを読み出して読影するためのシステムのことです。自社内でのAI技術開発に留まらず、幅広い疾患に対応するために、国内外の企業の優れたAI技術を自社のPACS上で利用できるようにしていくようです。
次回は、日立の医療用AI技術について報告します!
乞うご期待!!
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