2016年9月28日 更新

画像処理におけるフーリエ変換①

今回は現代社会で非常によく使われている数学(フーリエ変換)についてご紹介します。

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フーリエ変換は厳密に説明しようとすると難しい数式を使う必要があるので、ここではイメージを重視して説明したいと思います。

フーリエ変換とは、ざっくりいうと複雑な変化から隠れた性質を抜き出す方法ということができます。工学においては、主に変化の「角振動数」、「周波数」を取得するのに用いられます。

例えば、音を録音したとき、以下のような波形が得られたとします。
図① 信号の波形(x軸が時間、y軸が信号)

図① 信号の波形(x軸が時間、y軸が信号)

このような何がなんだか分からないごちゃごちゃした信号から、特徴を見つけたいと考えます。ここで使うのがフーリエ変換という技術です。
フーリエ変換をすることで、時間信号から周波数の信号を得ることができます。
図② 周波数領域でのパワースペクトラム(横軸はHz)

図② 周波数領域でのパワースペクトラム(横軸はHz)

このように得られることができました。拡大してみてみると、523[Hz],659[Hz],784[Hz]付近にピークがあるのがわかります。

この周波数を持つのは下からド、ミ、ソなので、ドミソの和音であったことがわかります。そして、ミの音が最も大きくソの音が最も小さいこともわかりました。
 (1258)

ちなみに、高周波領域にもピークが立っていると思いますがこれは、高速フーリエ変換(FFT)を行ったためです。サンプリング周波数を3000[Hz]としたためにその半分を軸として対称に配置するようになっています。実際は1500[Hz]以上は観測できない(サンプリング定理)ために、注目するのは1500[Hz]以下の部分で大丈夫です。

ここでは詳しい理論は割愛しますが、興味のある人は高速フーリエ変換で調べてみてください。

信号におけるフーリエ変換をイメージ的に表現すると以下のように表すことができるでしょう。
フーリエ変換の本質:MetaArt

フーリエ変換の本質:MetaArt

次に画像処理におけるフーリエ変換についてです。サンプルイメージとして、以下のような画像があるとします。
 (1262)

これをフーリエ変換します。音の場合は一次元のフーリエ変換であったのに対して、画像の場合は二次元のフーリエ変換になりますが、本質的には同じことです。

FijiからProcess -> FFT -> FFTを実行してみてください。なお、FFTを行うときは画素数は2の倍数でなければいけないため、Image -> Adjust -> Canvas Size から、画像を切り出してください。以下の画像はcenterに512×512で画像を取り出しました。
 (1264)

 (1265)

上のような結果になりました。中心部分が低周波成分、外側の方へ高周波成分となっています。画像を周波数の方向からみることによって、また違った見方ができるようになるわけです。

このように複雑な変化の裏側を見るという点において絶大な強さを誇るフーリエ変換。他にもラプラス変換、z変換、ヴェーブレット変換などの変換がありますが、全て背後に隠されている性質を抜き出すために使われているのだと考えてください。
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