2016年9月13日 更新

画像処理の意義

突然ですが、我々研究者が簡単に口にしている"画像"あるいは"画像処理"という言葉は、非研究者に正しく伝わっているのでしょうか。

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本来、(純粋な)科学とは、現在と未来に生きる人類の知的好奇心を満すための営みです。したがって、研究成果は非研究者にこそ広く伝わり、科学を楽しんで頂く必要があります。同時に、我々研究者には、人々を楽しませる義務があります。

昨今の画像不正問題を通じて、皆さんの心の中に
「画像処理って何か不正なことに使われてそう」や「画像処理って怖い」
といった思いがあればそれは悲しいことです。

本来、画像処理は
「雑多な情報群の中から、より真実に近しい情報だけ得る」ために行ないます。

例えば、気になる異性と偶然ツーショット写真を撮ったとします。しかし、あいにく逆光で撮ってしまい、暗くて2人が良く見えません。悔いても悔みきれません。そんな時には画像処理です。
この場合、「雑多な情報」とは「暗く写って見えない2人や良く見える風景や太陽」を意味します。画像処理としてコントラスト調整を行ない、明かにしたい「真実」は「ツーショット写真を撮ったこと」とした場合、「より真実に近しい情報」は「(コントラスト調整により顕在化した)2人」です。コントラスト調整により、2人で確かに写真を撮ったことが明かになりました。

生物画像に関しても、生の顕微鏡画像はノイズや目的外の構造を含んでいる場合がほとんどで、「真実に近しい情報」だけとは限りません。そのため、画像処理を行ない、論文掲載に耐え得る画像にする必要があります。

しかし、論文に掲載されたら科学的事実かと言うと、それも異なるのが科学の複雑な所。
様々な場所、時代の研究者の批判を受け、それらに耐えて始めて科学的事実となります。
当然、画像処理も吟味の対象となるので、行なった画像処理は論文中に記述しなくてはなりません。それが科学のルールです。

このルールに基づいて正しく画像処理を行うことで、科学者は人類の英知をいっそう高いものにできると信じています。
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