2016年9月14日 更新

ノイズ軽減処理

画像処理に関する情報発信として簡単なノイズ軽減処理についてご紹介します。

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論文の載っているような顕微鏡画像でも、普段私たちがiPhoneで撮影する写真でも、厳密に同じ画像は2枚撮影することは困難です。

光条件あるいは温度、湿度等の撮像条件を一定にしても、カメラや通信経路等、顕微鏡の光学経路内で必ずランダムにノイズが加わります。

ノイズが加わらないように撮像条件を最適化することは重要ですが、ノイズの抑制には限界があり、ノイズ軽減には画像処理によるアプローチが有効です。

多くの場合、各ピクセルに対して正規分布に従いノイズが加わります。
そのため、例えば自分を含めたお隣9ピクセルの平均を取れば、効果的にノイズを軽減できます。
これを平均値フィルタ処理と呼びます。

平均値フィルタは、輝度の変化が小さい領域では効果的ですが、輪郭領域など輝度が大きく変化する場合、輪郭がぼやけやすい特性があります。

そのため、中央部付近の輝度を重視するようなフィルタ処理も存在します。
正規分布 (ガウス分布) に従い、中央部付近の重み付けを大きくし、周辺部では重み付けを小くすることをガウシアンフィルタ処理と呼びます。

ガウシアンフィルタを施した場合、一般的に、平均値フィルタよりもぼやけずにノイズを効果的に軽減することが期待できます。

下の図は、中央が原画像、左が平均値フィルタ、右がガウシアンフィルタを施した画像です。

いわゆる「ぼけ」を意図的に作ることによりノイズを軽減します。
 (746)

上図の四角で囲った領域を拡大して見てみましょう。
 (748)

どちらの画像も効果的にノイズが軽減されています (例えば、木の葉領域で、白と黒の不連続な陰影が軽減されています) 。

次回は、ノイズ軽減を施した画像に対して、目的の領域を抽出する2値化処理についてご紹介します。

<まとめ>

ノイズを完全に抑制することは困難で、画像処理によるノイズ軽減が有効なアプローチ。
代表的なノイズ軽減法として平均値フィルタとガウシアンフィルタを紹介しました。
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