大学生協&アドビ共催webセミナー_補足資料3

アドビシステムズ株式会社と大学生協、エルピクセル株式会社の共催により「研究者のためのwebセミナー: Creative Cloudで作る,伝わる研究発表」を3回に渡り,開催しました.

目次

概要

2015年1月21日 (水) に行われた第3回目では,「見やすく,わかりやすい画像素材とレイアウトの作り方 〈総集編〉」と題して,これまでにご紹介したPhotoshop CCとIllustrator CCを使ったテクニックについてまとめてご紹介しました。

Webセミナーの様子は YouTubeにて公開されております。

研究者のためのWebセミナー 3/3:伝わる研究発表 総集編

なお,全3回分をまとめるプレイリストはこちらからご覧頂けます.

研究者のためのWebセミナー 1/3:伝わる研究発表 Photoshop編

このwebサイトでは,webセミナーの詳細な解説や,時間の関係上,触れることができなかったトピックについて解説します。

webセミナーと併せてご覧ください。

顕微鏡画像の重ね合わせ

本webセミナーでは,研究発表に欠かすことのできない顕微鏡画像の画像処理について,その意義と基本的な心構え,画像の基本操作を中心に説明してきました.本記事では,画像処理・操作の発展として,顕微鏡画像の重ね合わせについてご紹介します。
細胞生物学の分野では,タンパク質の局在解析や共局在解析など,顕微鏡画像の重ね合わせ画像を作成する場面があります。
当然,Photoshopでも基本的な機能を活用するだけで,簡単に重ね合わせ画像を作成することができます。

とは言っても,あまりに基本的すぎるのか,それともニッチすぎるのか,web上でPhotoshopによる顕微鏡画像の重ね合わせの仕方を調べても,目的とする手法にたどりつけないかもしれません。

そこで本記事では,画像の重ね合わせについて動画と画像を用いて詳しく解説してきます。

動画による解説

顕微鏡画像の重ね合わせ01 | Green + Red

・緑色 + 赤色を用いた顕微鏡画像の重ね合わせ
・緑色 + 赤色 + 青色を用いた顕微鏡画像の重ね合わせ
・緑色 + マゼンタを用いた顕微鏡画像の重ね合わせ
・レイヤー機能を用いた顕微鏡画像の重ね合わせ
上記4点の動画をまとめたプレイリストを作成しました.本記事と併せてご覧下さい。

緑色 + 赤色を用いた顕微鏡画像の重ね合わせ

まずは,顕微鏡画像の画像サイズを確認します.今回使用する画像群は幅470 pixel, 高さ470 pixelです。

合成用の画像を新規作成します.画像サイズおよび解像度は,重ね合わせる画像と同一にします。
カラー画像を作成するので,カラーモードはRGBカラーを選択します。

重ね合わせる画像について,選択範囲-全てを選択,編集-コピー,によりクリップボードへコピーします。

合成画像について,ウインドウ-チャンネル でチャンネルウインドウを表示させ,目的の色チャンネル (今回はレッド) のみを選択します。

編集-ペースト により,重ね合わせたい画像をペーストします。

同様にして,異なる色チャンネル (今回はグリーン) にも目的とする重ね合わせたい画像をペーストします。

使用しなかった色 (今回はブルー) が白色だと合成画像が青くなります.それを防ぐために,ブルーチャンネルを黒色で塗りつぶします。

全てのチャンネルを表示させると,合成画像の作成が完了です。

緑色と赤色で重ね合わせると,共局在領域は黄色で表示されます。

色覚バリアフリーに配慮した重ね合わせ | 緑 + マゼンタ

緑色と赤色を使用した合成画像は視認性が比較的良いため,研究発表の場ではよく見かけます。
しかし,色覚異常の方 (日本人男性の場合,約20人に1人,女性の場合は約500人に1人) にとっては必ずしも視認性に優れた配色ではありません。
色覚バリアフリーに配慮した色の組み合わせは,緑色 + マゼンタです。

マゼンタは赤と青の混合により再現されるため (R:G:B = 255:0:255),レッドチャンネルとブルーチャンネルに同一画像をペーストします。

緑色 + 赤色 の場合と同様に,緑色の画像をグリーンチャンネルにペーストすると,緑 + マゼンタの合成画像が作成されます。
緑とマゼンタの場合,共局在領域は白色になります。

3種類の顕微鏡画像の重ね合わせ

3つの色を使用する場合,赤色 + 緑色 + 青色 の組みが良く使われます。

色覚バリアフリーに配慮する場合は,緑色 + マゼンタ + シアンがよく使用されます。
(赤色 + 緑色 + 青色よりも視認性に優れますが,共局在性の検証には不向きと言わざるを得ません)

動画では,上記と合わせてレイヤー機能を使用して顕微鏡画像を重ね合わせる場合についてもご紹介しています。