こんにちは!
以前、多様体の工学的応用について、このような記事を見かけました。
以前、多様体の工学的応用について、このような記事を見かけました。
多様体学習の例とLLE - "機械学習","信号解析","ディープラーニング"の勉強
多様体学習 多次元データの中からそれよりも低次元のデータを抽出する手法です。 殆どの場合、多次元データの全てに意味があるケースは少なく、 何かしらの構造があるはずです。 それを何かしらの観点から解析しようというのが多様体学習になります。 多様体学習がやろうとしている直感的な話に関しては以下で。
多様体学習の例とLLEについて
多様体学習とは、多次元のデータからそれよりも低次元のデータを抽出する方法です。これにより次元を削減し、計算量を落とすことができます。
一般に4次元以上になるとデータを可視化することができません。3次元未満であると空間にプロットすることでデータを可視化することができます。これを可能にするのが多様体です。
これを理解すべく、多様体についてまとめていこうと思います。
1. Euclid幾何学と非Euclid幾何学
多様体を議論する上でまず整理しておきたいのは、Euclid幾何学と非Euclid幾何学です。
Euclid幾何学
高校生までに習う幾何学。主に「図形」を扱い、Euclidの原論に基づく「定義」、「公準」、「公理」から形成される幾何学。
そこで問題になったEuclidの原論の第5公準、「平行線の公理」です。
そこで問題になったEuclidの原論の第5公準、「平行線の公理」です。
平行線の公理とは、「平面上に直線 LとL上にない点pが与えられたとき、点pを通りLに平行な直線は与えられた平面にただ1本存在する。」
高校生までに習う幾何学で考えてみると当たり前のことが、非Euclidだと成り立たなくなります。
高校生までに習う幾何学で考えてみると当たり前のことが、非Euclidだと成り立たなくなります。
非Euclid幾何学
ユークリッド幾何学のような「まっすぐ」な平面ではなく、ある種の「まがった」曲面での幾何学を考える分野です。下の例をみてください。
ポアンカレ円盤内の直線
ポアンカレ円盤では、空間として、
\begin{align}
D^2 = \{(x,y) \in R^2 | x^2 + y^2 < 1 \}
\end{align}
D^2 = \{(x,y) \in R^2 | x^2 + y^2 < 1 \}
\end{align}
を考え、円盤の境界では無限遠と考えます。そしてこの世界では
$D^2$の境界と直交する円弧または直線
が「直線」であると定めます。
この空間では上の図のようにある点pを通るような「平行線」は無数に存在します。
2. 「曲がった」空間での幾何学
曲がった空間での幾何学を具体的に考えてみるために、以下のような単位球面
\begin{align}
S^2 = \{ (x,y,z) \in R^3 | x^2 + y^2 + ^2 = 1\}
\end{align}
S^2 = \{ (x,y,z) \in R^3 | x^2 + y^2 + ^2 = 1\}
\end{align}
での幾何学を考えてみましょう。球面上の位置を特定するときには$(x,y,z)$の座標を指定するよりも”地図”(atlas)を使って場所を指定します。
場所を指定する方法として、「緯度、経度」がありますよね。これは、球面上の点を
\begin{align}
r = \{ R\cos\phi\sin\theta,R\sin\phi\sin\theta,R\cos\theta \}
\end{align}
r = \{ R\cos\phi\sin\theta,R\sin\phi\sin\theta,R\cos\theta \}
\end{align}
と$(\theta, \phi)$でパラメタライズし、そのθ , πを指定することで、場所を決めているわけです。
次にこの球面上の3点を結んで、三角形を作ってみます。
球面上で作った三角形
この三角形、角度の和が180度にはなりません。球面三角形の内角の和は常に180度より大きいのです。平面の幾何学では成り立たないことが、曲がった幾何学を考えることで成り立つことがわかります。
今回はEuclid幾何学と非Euclid幾何学をみてきました。このような議論からどのように多様体に結びついていくのか、次の記事で説明していきたいと思います。
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数学が好きな方、おすすめです。
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参考文献:平成27年度春季研究大会講演「曲がった空間の幾何学」