画像解析入門⑦ Image Jによる画像処理

Processメニューの続きを見ていきます。Processとは画像の処理を示しているので、Image Jで出来る画像処理について全般的に見ていきたいと思います。

目次

概要

今回はImage JのProcessメニューの続きで、Filtersを主に見て行きたいと思います。

例えば、一つの階調で全ての見たいものを見ることが出来ないことありませんか?

そこで、画像処理を行い、不要な周波数を除去して、近い輝度で集めるとよいのかも知れません。

カーネルとは、畳み込みの範囲のこと。カーネルの中でどんな処理を行うのかについては様々な種類があり、
正規分布に体する重みづけをするガウシアンフィルタ(ガウシアンブラー)・中央値をもとにするメディアンフィルタなどがあります。

これらのフィルターについて見て行きましょう。今回は、Image Jのサンプルの顕微鏡画像を使って処理を行ってみたいと思います。

Process->Filtersから様々なフィルタを呼び出すことが出来ます。

一番上のConvolveとは回りのピクセルを「畳み込んで」画像に反映させることです。畳み込む回りのピクセルのことをカーネルと呼びます。このConvolveでは、どんな風にフィルタ処理をかけるか、マニュアルで編集することが出来ます。

画像処理と言えば、Smooth(画像をぼやけさせる),Sharpen(画像のきれを上げる),Find Edges(エッジ抽出)などがありましたね。より細かい処理を行う為にフィルタを使います。

Medianフィルタ

ごま塩ノイズのアーチファクトを軽減する為に用いられます。ごま塩ノイズというのは以下のような紙ヤスリのようなざらざらしたノイズのことです。これを直すにはMedianフィルタが最適です。

Process->Filters->Medianを選んで、フィルタ処理をかけると右画像のようになります。ちょっと細かいところがぼやけますが、だいたいの情報が残っているのが分かると思います。

中央値を基準にしてpixelを設定し直すと、輝度的に外れ値である白と黒のごま塩ノイズをフィルタリングしてくれます。かかっているノイズがきれいに消えるのです。固定ノイズやごま塩ノイズのように極端にコントラストのついたノイズを消すのであれば、Medianフィルタを使うとちょうどよいです。

Analyze->Plot Profileをすると、細かい輝度のギザギザが滑らかになっているのが分かると思います。

これが、平均化フィルタだと、元々の情報がノイズに引っ張られて、画像がぼやけてしまいます。これだと元の情報から外れてしまいますね。

ガウシアンフィルタ

平均化フィルタと一緒によく用いられます。自分と近しいフィルタは自分と近しい値をとるに違いないという仮定の下に考えます。画素の空間的配置を考慮して,対象画素に近い画素 に大きな重みを,対象画素から遠い画素には小さい重みを付けた加重平均を取ります。

Add noise処理を行った画像
Add Noiseを行った画像はこのガウシアンによって綺麗な画像に処理することが出来ます。ちょっと見たい絵と関係無いざらざらしたノイズがあるなーと思ったらガウシアンフィルタを使うとよいです。

ノイズ画像(左)とガウシアンフィルタ処理後の画像(右)

元画像(左)とガウシアンフィルタ処理後の画像(右)
画像処理の用途は本来研究活動で確認したい内容を調べることですから、元の画像の必要な情報を失わないようにしつつ、フィルタ処理をやっていきましょう。

程度問題ですが、示したい結果が分かっていて、それが事実を歪曲するものでなければ、必要な処理はむしろやっていくべきだと思います。不正を疑われない画像処理に就いてはこちらもご覧下さい。

2値化処理(Threshold)

2値化処理(Threshold)を行った状態での処理をすることもあります。Process->Binary->Make Binaryを選択すると二値化することが出来ます。

しかし、Make Binaryの処理では、しきい値が勝手に決められて白黒になってしまうので、このように全ての対象物(この画像では水玉)が出てこないこともあります。

そこで、Image->Adjust->Thresholdによって、2値化した画像のしきい値を調整することが出来ます。

右肩上がりの低周波数成分と細かい部分の高周波数成分が重なっているので、周波数の違いも考慮してしきい値をとると良いかもしれません。Threshold(しきい値)の種類も様々あります。

ちなみに2値化すると、白背景に黒前景がデフォルトになっています。この影響で例えば、黒い点の数を見たいのに、孔の空いた一つの白いオブジェクトとして認識してしまったり、逆になることもあり得ます。

Process->Binary->Options...を選択すると2値化画像に関するウィンドウが表示されますので、こちらで変更しましょう。

Black backgroundの項目がデフォルトではチェックが外されているので、白背景になっています。この項目をチェックすると、顕微鏡画像で見るような黒背景に白前景になるのです。