フーリエ変換は工学によって非常に重要な役割を果たしています。その応用分野は多岐にわたり、バリバリの物理の理論家さんから地震学者、生物系の研究者までです。これからの工学を支えていく上で確実に必要となるのがフーリエ変換なわけです。
今回のセクションの目標は「全ての信号は波の合成で表される」というフーリエ変換の本質を理解することです。
例えば以下のようなグラフがあったとします。
例えば以下のようなグラフがあったとします。
すでに波の形で表されていますね!図式化すると以下のようになります。
複雑なグラフも三角関数の足し算で表現出来る。
他にも例をあげておきます。
これは加法定理を用いることによって、以下のように分解することができるため、これも波として表されます。
これは加法定理を用いることによって、以下のように分解することができるため、これも波として表されます。
ここまでは普通に納得していただけると思います。波の足し算や波の掛け算で表されていると波の足し算に分解できるわけです。
それでは、 y=x^2 を波の合成で表すことはできるのでしょうか。
二次関数も波形に変換することが出来る?
このようなグラフが波の合成で表すことができるとは一見すると思えないと思います。しかし、可能なんです。
前回の記事で表したように離散フーリエ変換は以下のように表され、係数も積分で計算されたことが確認できたと思います。
前回の記事で表したように離散フーリエ変換は以下のように表され、係数も積分で計算されたことが確認できたと思います。
係数は以下のように計算されるのです。ここで積分が出てくるのは、上に表したように積分することによって求めたい部分のみが出てくるからです。
今度は範囲を 0 〜 2π ではなく、-π 〜 π で考えてみましょう。この場合も積分範囲が変化するだけです。
積分を計算する(部分積分を二回ほど行うと計算できる、興味のある人はやってみてください)と以下のように係数が決定されます。
積分を計算する(部分積分を二回ほど行うと計算できる、興味のある人はやってみてください)と以下のように係数が決定されます。
つまり、x^2は以下のように計算されるわけです。cos nxは波なので、波の合成で表されているわけです。これで、二次関数も三角関数の演算で表現されることが分かりました。式は以下のようになります。
本当にこんな式で表されるのかな?と思う方がいらっしゃると思いますので、Σの部分を無限個の足し算ではなく、有限個にしてどのように近づいていくか、チェックしたいと思います。赤い点線がフーリエ級数です。
n=0のとき
n=1のとき
n=3のとき
n=5のとき
n=10のとき
n=100のとき
このようにnの値を増やしていくことで、フーリエ級数が二次関数の形に近づいていくことがわかると思います。x^2も波の合成で表すことができました。
まだ終わりではありません。
この式は等号で結ばれているので、xに何を代入しても大丈夫です。
ここで両辺に x = π を代入してみましょう。左辺はπ^2になり、右辺のcosの方は (-1)^nになります。するとこの式は以下のように簡単になります。
この式を整理すると
このような方法でバーゼルの問題と呼ばれる18世紀の難問が解かれることになったわけです。こんな足し算が見事綺麗な値になるのはびっくりですよね!
今日は完全に数学のウンチクの話をしました。このようにフーリエ変換が純粋数学にも大きな貢献をしたということは注目すべきことのように思います。また時間があればこのような話も絡めて話していきたいと思います。
今日は完全に数学のウンチクの話をしました。このようにフーリエ変換が純粋数学にも大きな貢献をしたということは注目すべきことのように思います。また時間があればこのような話も絡めて話していきたいと思います。