MRIやCTなどのDICOM画像を3Dモデルに変換する方法

最近では医療分野でも3Dモデリングが取り沙汰されている。

目次

筆者が現在の学校に入学した頃、既にCTやMRIの画像をモニター上で3Dに再現する高性能なソフトウェア(ワークステーション)は存在していたが、3Dプリンタや拡張現実などの発展により、撮像した臓器のモデルをモニター以外の場所でも五感で体感することが出来るようになった。



神戸大学大学院の医学研究科に所属している医師、杉本真樹氏が中心となって、これらの取り組みを行っている。杉本氏は、医療画像アプリケーションOsiriXの開発にも携わり、現在ではOsiriXをベースとした低侵襲度の手術法やロボット手術などの研究をしている。

OsiriXは無料版も提供されており、以前撮像してもらったCTやMRIのデータがCD-Rなどで手元に残っていれば、お金をかけずに自分の身体の3Dモデルを作ることが出来る。(ただし、OsiriXはMac専用なので、Windowsの場合は、SlicerやITKSnapなどがある。)

① OsiriX

② OsiriXでモデリングしたいファイルを選択

そして、画像を選択した状態で[3Dサーフェスレンダリング]を選択する。(MRIの画像でも出来る。)

このような表示が出る。間引き、平滑化の部分をいじると、画像が滑らかになったり粗くなったりする。

このような形で、個人パソコン上で自分の頭部の画像を3Dで再現することが出来た。ただし、今回使ったのが、6mm厚の画像だったので、ステアステップアーチファクトが生じてしまっている。1~2mmなどより薄いスライス厚であれば、より細かく再現出来る。

1.2mmスライスで撮像したGRE像から再構成した3Dボリュームレンダリング画像。もう少し細かく再現出来ている。

③ 2の画面上で、 [3D-SR書き出し]から[STLに書き出し(.stl)]を選択

④この.stlファイルを3Dプリンタに直接渡せば造形

(出典:ファソテック)


今回用いたのがMRIの画像であり、細部を再現することは出来なかったが、CT画像を用いれば、骨の3Dモデリングを行うことも出来る。

MRIの場合、組織の違いによる信号のしきい値を設定することが難しく、3Dモデリングすると、中身がすかすかになってしまうようである。Autodesk Inventorなどで内部構造を埋める処理を行おうとしたが、修正出来なかった。

MRI画像の欠点は、信号を強制的に2値化した時に、軟部組織がスカスカになってしまうことだった。

実際に出力したものはこのような形になった。

⑤ AR(拡張現実感)を再現するには、《Augment》というアプリで.stlファイルを重畳表示

会員登録してログインすると、[Add Model]というボタンがあるので、これをクリックして、先程保存したstlファイルをアップロードする。

アップロードされたら、名前とカテゴリーを選択する。ここでは、[Medical]を選択。

自身のスマートフォンに、Augmentのアプリをダウンロードしておく。iPhoneとAndroidの両方に対応している。

iPhone
https://itunes.apple.com/us/app/augment-3d-augmented-reality/id506463171?mt=8

Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ar.augment&hl=ja

ちなみにOsiriXの日本語マニュアルはこちら:http://www.xknowledge.co.jp/book/detail/XK9784767811994

stlファイルの確認には、《Meshlab》というソフトが使いやすいそうだ。.plyファイルに書き出すこともでき、Augmentにもアップロード出来る。  (ダウンロードはこちら。http://sourceforge.jp/projects/sfnet_meshlab/ )