医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧まとめ

今回は、「医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧」の総まとめです。医用画像処理に興味を持ってもらえたり、ImageJに触れたり、研究を始めるきっかけになれば、幸いです。

目次

医用画像に興味のあるみなさん、こんにちは!
今回は、「医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧」の総まとめです。
このシリーズが、医用画像処理に興味を持ってもらえたり、ImageJに触れたり、研究を始めるきっかけになれば、幸いです。

では、第1回〜第8回を振り返っていきます。

第1回〜第3回は、「画像の類似度の指標」について紹介しました。

第1回 『画像の類似度とは?』では、画像の類似度の指標のいくつか(差分2乗和(SSD)、相互相関値(NCC)など)を紹介しました。

第2回『相互情報量とは?』では、その中でも、最も良く用いられる指標の1つ「相互情報量」を詳しく解説しました。

第3回『MRI画像を用いた相互情報量の計算』では、実際に、MRI画像を回転させながら、元画像との「相互情報量」がどのように変化するかを実装しました。

第4回〜第7回は、ImageJやFijiのプラグインを用いて「画像位置合わせの実装」を行いました。

画像位置合わせは、画像の類似度の評価関数を最大(小)化するように、移動・変形のパラメータをアップデートする最適化問題で、評価関数やパラメータに何を選択するのかによって、位置合わせの方法も変わります。

第4回『LPixel ImageJ Pluginを用いた画像位置合わせ』では、「平行移動」による位置合わせをLPixel社が開発したImageJプラグインを用いて実装しました。平行移動ベクトル(パラメータ)に対応する画素値の相互相関値マップ(評価値)に基づいて位置合わせが行われていることがよく理解できます。

第5回『Fiji Pluginを用いた画像位置合わせ』では、「平行移動+回転移動」による位置合わせをFijiのプラグインを用いて実装しました。

・「平行移動+回転移動」による位置合わせは、画像の変形がないので、剛体位置合わせ(Rigid registration)と呼ばれます。
・複数の画像ファイルを一括して、元画像に位置合わせを行うプラグインも紹介しました(下図)

第6回『アフィン変換とは?』では、「平行移動+回転移動+拡大・縮小」による位置合わせを行うアフィン変換について解説しました。

・「平行移動(Tx, Ty)+回転移動(θ)+拡大・縮小(λ)」による変換は、アフィン変換行列を用いた線形変換で全て表せること。
・「特異値分解」という操作によって、アフィン変換行列が求められること。
を解説しました。

第7回『Fiji Pluginを用いたアフィン変換による画像位置合わせ』では、「平行移動+回転移動+拡大・縮小」による位置合わせをFijiのプラグインを用いて実装しました。

・2つの画像から対応する特徴点を抽出するプラグイン(アルゴリズムはSIFT)
・抽出された対応する特徴点を用いてアフィン変換による位置合わせを行うプラグイン
を紹介しました。
この場合は、アフィン変換行列がパラメータで、特徴点の座標誤差が評価値になりますね。

第8回『非線形変換を用いた画像位置合わせ』では、アフィン変換では表現できない「非線形な変換」を用いた位置合わせをFijiのプラグインを用いて実装しました。画像が変形するので、「非剛体位置合わせ(Deformable Image Registration:DIR)」とも呼ばれます。

・画像上に格子状に設定した制御点を移動させて変形を行い、その他の点の移動は補間によって求める手法(B-spline法)で、なめらかな任意の変形を行うことができます。
・DIRを用いた臨床・研究への応用例を紹介しました。

以上、『医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧』の総まとめでした。読んで下さった皆様、ありがとうございました。
興味のある方は是非、下記の参考文献を参考になさってみてください。

【参考文献】
[1] 篠原広行・伊藤 猛・橋本 雄幸著、医用画像位置合わせの基礎、医療科学社,2011.
[2] 医用画像工学ハンドブック、日本医用画像工学会, 2012.
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