【医用画像の解析処理 ①】X線胸部画像

医用画像の解析処理についてご紹介します。参考にするのは、新潟大学の医用画像処理工学演習の授業ページ( http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~medimg/practice_medical_imaging/imgproc_scion/1sampling/index.htm)です。

医用画像には,CTやMRIのようなディジタル撮影装置を利用して撮影されるディジタル画像と,X線フィルムに代表されるアナログ画像があります。アナログ画像をコンピュータで解析するためにはディジタル化(=A/D変換:Analog-to-Digital conversion)を行わなければなりません。近年では、装置の精度管理を除くと、アナログ画像を撮影することはほとんどなくなりました。

ディジタル化の基本原理は,”標本化”と”量子化”で成りなっており、最初に標本化を行い,その後に量子化を行います。この順番を入れ替えることはできません。まず、標本化では、一定間隔ごとに画像の信号を切り分けます。次に、量子化では、切り分けた信号がどの程度の大きさであるかをしきい値によって分類します。これにより、X線画像がモニタ上に表示され、コンピュータ上で処理出来る形になります。

また、その画像がどの程度のFOV(Field of View:視野)で見られるかによって、画像のピクセルサイズを推測することができます。

胸部X線撮影の場合、大角(14×14inch)か、半切(14×17inch)で撮影されるため、512×512のマトリクスサイズであれば、大角の場合のピクセルサイズは、
(14(inch)×25.4(mm/inch))÷512=0.694...(mm)
となります、つまり、画面上で見ることの出来る1pixelの大きさは1mm以下であるということになります。

現在、病院で撮影されているX線撮影は、イメージングプレートを用いたCR(Computed Radiography)装置や、半導体素子を用いたFPD(Flat Panel Detector)装置が用いられ、撮影された画像は直接コンピュータ画面上で表示されるようになっています。

ここで、試しに胸部X線画像(新潟大学のページから拝借)の画像処理を行ってみます。

Lineを引き、Analyze->Plot Profileで、画像の輝度を調べると、以下のようになります。
(以下は信号が反転しており、白い部分が低信号として表示されてしまっています)

Lineの幅を広げると、プロファイルが滑らかになります。

次に、心胸郭比(CTR)を調べます。まず、心臓の右第2弓〜左第4弓までを直線で引き(1)、次に、胸部肋骨弓両下縁を直線で引きました。(2)

この時、以下の値がCTRとなります。


(1)の長さ/(2)の長さ=CTR(心胸郭比)


CTRの値が、0.5を越えると、心肥大であると考えられます。

tボタンをクリックし、ROI Managerで(1)と(2)で記録した直線の長さを調べます。ROI ManagerのMeasureボタンを押すと、以下の結果が表示されます。

Lengthを見ると、(1)が152、(2)が336であります。計算すると、

(1)の長さ/(2)の長さ=152/336=0.452...

となり、0.5を下回っているので、正常であると考えられます。