細胞の移動量を調査

細胞の移動量(動態解析)についてご紹介します。動態解析とは、観察している対象物の経時的な変化を調べる為に行います。

今回は動態解析について見て行きたいと思います!

動態解析とは、観察している対象物の経時的な変化を調べる為に行います。

理化学研究所

例えば、理化学研究所の「細胞内ロジスティクスのデジタル解析」分野では、メラノソーム輸送に関するタイムラプス動画が紹介されていました。メラノソームの動態解析について自動解析を行っているそうです。

また、医用画像では、心臓の拡張期と収縮期の形態の違いを比較して、心駆出率(Ejection Fraction)や心拍出量(Cardio Output)を調べる為に同じ断面でスライスを何枚も撮像し動態解析を行ったりします。

ここで、動画画像がどのように構成されているのか見て行きたいと思います。

anfoworld

上は画像解析を個人で行われている方のHPから拝借しました。動画は、一枚一枚の画像を時間軸に沿って重ね合わせたものです。従って、ある対象がどのように動いたかを調べる為には、対象物の位置が一枚一枚確認出来れば、移動距離を調べることが出来ます。

ここで、一枚ずつ画像を重ね合わせた画像のことをスタック画像といいます。

スタック画像は、一枚ずつ動画のようにコマ送り再生することが出来ます。

Stacks -> Animation -> Animation Options...から再生のスピードなどを設定出来ます。

初期設定では、Speedは10fpsになっています。
さて、今回は、Fijiの画像サンプルに入っている疑似細胞の動態解析用サンプルを見てみましょう!

File -> Open Samples -> Tracks for Trackmateを選択して下さい。

まず、全体でどれだけ細胞が動いているか、移動距離を見てみます。

Image -> Adjust -> Brightness/Contrastで動きを見たい対象以外のノイズを除去します。

次に、Image -> Stacks -> Z Projectを選択し、Projection typeをMax Intensity(最大輝度を1つのスライスに投影する)に設定してOKを選択します。

すると、このような結果が得られました。

スタック画像を再生してみた方は分かると思うのですが、細胞が複数現れます。その為、どれがどの細胞なのかを判別出来るようにしたいですね。

そこで、HSV色空間で色分けする方法があります。Lpixel ImageJ Pluginsをダウンロードした状態で、Plugins->LPX->Lpx StkFilterを選択します。

modeはproj_を選択し、projModeをmaxHsvに設定します。どの色を使うかはzeroAngle~rangeAngleで選択します。HSVは色を360度で示します。

すると、以下のような結果が返ってきました。

スタート地点が赤。スタック画像の最後のスライスで青色に変化しています。色によって時系列の動きが分かり易いですね。

次に細胞の移動量を調べる為に画像にマニュアルで番号をふっていきましょう。

試しに、HSVで色分けした画像に対して、同じ色の固まりごとにポイントをプロットしてみました。(スタック画像の側にプロットした方が正確かも知れません。)

キーボードのtボタンを押して、ROI Managerを開き、同じ色の中で輝度の高い画素にポイントをプロットします。そして、tボタンでそれぞれのポイントの位置を記録します。

すると、スタック画像の方にも、プロットした軌跡が表示されます。

また、ROI Managerで一連のポイントを選択して、Measureボタンを押すと、以下のように、ポイントの位置を調べることが出来ます。

やはり、資料では、スタック画像の方にポイントをプロットしていますね。

皆さんも是非色々試してみて下さい!
<参考資料>

京都大学大学院医学研究科 生命動態システム科学拠点事業 時空間情報イメージング拠点 生命動態制御研究室

第185回農林交流センターワークショップ 「 植物科学・作物育種におけるフェノーム解析 - はじめて画像解析を行う研究者のための入門実習 - 」

Getting Started with TrackMate(Fiji)