2016年9月29日 更新

医用画像位置合わせの基礎⑤~Fiji pluginを用いた画像位置合わせ~

前回紹介した、LPixel社のImageJ registration pluginに引き続き、今回は、FijiというImageJの拡張版ソフトを使った画像位置合わせをご紹介します。

21,198 view お気に入り 1
前回紹介した、LPixel社のImageJ registration pluginに引き続き、今回は、FijiというImageJの拡張版ソフトを使った画像位置合わせを紹介しようと思います。
ちなみに、FijiでもImageJと同じくpluginやマクロを自作して追加することができますので、ご興味のある方は是非、研究者のためのImageJ勉強会#1(http://lpixel.connpass.com/event/30342/)で学ばれてみてください。
まず、位置合わせしたい2つの画像を開いてから、plugins > Registration > Rigid Registrationを選択します(図1)。Rigid Registrationとは、画像の平行移動と回転を組み合わせた位置合わせのことです。
図1. Fijiの位置合わせplugin "Rigid...

図1. Fijiの位置合わせplugin "Rigid Registration"

今回は、元画像を時計周りに30度回転+縦横方向にそれぞれ20(pixels)平行移動させた処理画像を準備します(図2)。
まず、元画像を処理画像にRigid Registrationするためのパラメータを図2のように設定します。
図2. 元画像、処理画像、registrationパラ...

図2. 元画像、処理画像、registrationパラメータ。

Transforming: 動かす画像(ここでは元画像:original.raw)
Template: ターゲット画像(ここでは処理画像:After.raw)
Measure: 画像の類似度の評価関数(ここでは相互情報量:mutual information)
show transformed: 移動後の画像を表示します
show DifferenceImage: 移動後の画像とターゲット画像の差分を表示します
[OK]をクリックすると、
図3. 元画像の処理画像へのRigid Registr...

図3. 元画像の処理画像へのRigid Registration画像(左下)と処理画像との差分画像(右下)。

図3のように、元画像が、処理画像にRigid Registrationされた(左下)のが分かると思います。
また、右下に処理画像とregistration画像の差分画像が表示されています。多少の誤差はありますが、精度よく位置合わせが行われていることが分かります(参考までに差分画像のヒストグラムも表示しました)

内部で行われているプロセスは、画像類似度と移動・回転量の対応関係を表す分布を作り、その分布に基づいて、最も類似度が高い場所に画像を移動・回転する、ということです。

このように、任意の平行・回転移動は、このpluginで容易に行うことができます。

また、この機能の拡張版として、複数の画像を一度にregistrationしてしまう機能もあります。
同じくRegistrationの中の "Register Virtual Stack Slices" というpluginです(図4)。
図4. 複数の画像を一度にregistrationする...

図4. 複数の画像を一度にregistrationするplugin "Register Virtual Stack Slices"。

このpluginを選択すると、図5のような画面が表示されるので、sourceフォルダとoutputフォルダの場所を入力します。
sourceフォルダに、位置合わせしたい画像群を入れます。今回は元画像を含めて10種類の異なる移動・回転処理を施した画像(.png)を入れました(図6)。
図5. sourceフォルダ(位置合わせ前の画像群)と...

図5. sourceフォルダ(位置合わせ前の画像群)とoutputフォルダ(位置合わせ後の画像群)の場所を入力

図6. sourceフォルダ(位置合わせ前の画像群)の...

図6. sourceフォルダ(位置合わせ前の画像群)の中身。10種類の異なる移動・回転処理を施した画像群。

図5で[OK]をクリックすると、sourceフォルダが開くので、リファレンス画像(ターゲット画像)をsourceフォルダから1つ選びます。つまり、残り9つの画像がその選択された画像に向けてregistrationされます。今回は、元画像(original.png)をリファレンス画像として選びました(図7)。
図7. リファレンス画像の選択(今回は元画像を選択した)。

図7. リファレンス画像の選択(今回は元画像を選択した)。

19 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

LP-tech2周年記念#人気記事のまとめ#第20位〜第16位

LP-tech2周年記念#人気記事のまとめ#第20位〜第16位

LP-techが始まってから2周年を迎えました。ここまでLP-techを続けることができたのも読者の皆様のおかげだと思っています。そこで、LP-techの感謝祭ということで、人気の記事を第20位から第1位までをご紹介します。今回は第20位〜第16位までです。
医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧まとめ

医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧まとめ

今回は、「医用画像位置合わせの基礎シリーズ①〜⑧」の総まとめです。医用画像処理に興味を持ってもらえたり、ImageJに触れたり、研究を始めるきっかけになれば、幸いです。
木田智士 | 13,737 view
医用画像位置合わせの基礎⑧〜非線形変換を用いた画像位置合わせ〜

医用画像位置合わせの基礎⑧〜非線形変換を用いた画像位置合わせ〜

今回は、非線形な画像変換を用いた位置合わせをご紹介します。
木田智士 | 31,776 view
医用画像位置合わせの基礎④ 〜LPixel ImageJ pluginを用いた画像位置合わせ〜

医用画像位置合わせの基礎④ 〜LPixel ImageJ pluginを用いた画像位置合わせ〜

今回は、ImageJという画像解析ソフトを使った画像位置合わせについてご紹介します。
木田智士 | 16,516 view
医用画像位置合わせの基礎③ 〜MRI画像を使った相互情報量の計算〜

医用画像位置合わせの基礎③ 〜MRI画像を使った相互情報量の計算〜

今回は、前回紹介した相互情報量の概念を画像に応用し、実際のMRI画像を用いて相互情報量を計算することにより、画像の類似度を評価することをご紹介します。
木田智士 | 15,099 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

木田智士 木田智士