2016年9月13日 更新

スマホで撮って送るだけ!顔写真から遺伝子疾患を検出するソフトウェア

「New Scientist」というサイトによると、世界の全人口のおよそ6%の人が、稀な遺伝子疾患をもっていると見られるという。遺伝子疾患といえば、“ダウン症候群”など、私たちも耳にしたことがあるものもあるが、稀な疾患をもっている場合には、しっかりとした知識をもった遺伝子学者や医師などの専門家にかかる必要があるだろう。 専門家たちは顔にはっきりと表れている疾患の特徴を見極め、正確な診断をおこなわなければならないが、なかなかこのようなスキルをもった専門家がいないのが現状である。

893 view お気に入り 0

オックスフォード大学が開発中の顔の特徴から遺伝子疾患を見つけるシステム

人の顔の特徴から遺伝子疾患を見つけようと、オックスフォード大学の研究チームが、あるソフトウェアを開発中だという。Christoffer Nellåker氏、Andrew Zisserman氏を中心とした開発チームでは、遺伝子疾患につながる顔の特徴を判断するソフトウェアを作成した。

テストでは93%の精度、90の遺伝子疾患に対応

コンピューターはデジタル写真を分析し、公で公開されている、遺伝子疾患をもった人の写真データと比較する。この比較データをコンピューターが学習し、目、眉、くちびる、鼻の形や大きさといった顔の構成要素を分析し、対象の状態を特定する。テストではおよそ93%の正確性を示したという。

最初に、8つの異なる遺伝子疾患をもった1363の画像データをコンピューターに提供した。1つの疾患につき、およそ100~283の画像があり、データベースのデータ量は今なお増加しているという。現在このソフトウェアは、90の異なる遺伝子疾患を特定することができ、2754の画像データを保有している。

もちろん、このプログラムは遺伝子疾患の専門家の診断に取って代わるものではないが、疾患の特徴を特定することに役立つだろう。一人の医師が診断をおこなうよりも、30倍の正確性で特定ができるという研究データが示されているという。

DNA分析プログラムとの同期も視野に

Nellåker氏は、アルゴリズムをより進化させ、DNA分析プログラムと同期させて、顔分析と、疾患の遺伝的特徴分析を一緒におこなうシステム開発を進めたいとしている。

専門家医や専門施設が付近にない人でも、スマートフォンで写真を撮影して送るだけで、遺伝子疾患の可能性を判断できる手軽さは、非常に大きいメリットといえるだろう。

出展)Techable
6 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

テレビに最適化した顔認識技術により視聴体験の質を定義する「TVISION INSIGHTS」

テレビに最適化した顔認識技術により視聴体験の質を定義する「TVISION INSIGHTS」

視聴率とは、モニター世帯の中でテレビで特定の番組をつけている世帯の割合を示したもの。しかし、実際にテレビがついているだけで寝てしまっている状態や、ながら視聴のような状態までは調べることが出来ない。最近では録画視聴率というリアルタイム以外の視聴についても指標として捉えるようになった。 「TVI-"Identifier"」は、テレビ“視聴率”よりも有効な指標を作ることで、テレビ広告の宣伝効果をより明確に測定できるようにすることが目的だという。
画像の内容を認識し情報を出力するWebサービスAPI『Rekognition』

画像の内容を認識し情報を出力するWebサービスAPI『Rekognition』

『ReKognition API』とは指定された画像の内容を認識し、その画像が何であるかを自動検出するテクノロジーを用いた統合的なWebサービスAPI。
顔写真から心拍数が計測出来る「Pace Sync」

顔写真から心拍数が計測出来る「Pace Sync」

緊張状態になって心拍数が上がったときに役立つiPhoneアプリが登場した。その名も「Pace Sync」。このアプリは、iPhoneのカメラで顔写真を撮影し、その写真から心拍数が測定できるというもの。
日本が進めるAI画像診断支援②

日本が進めるAI画像診断支援②

大量に集められた医用画像データベースを用いて、いかに効率的に解析可能な教師データを作成していくか、またAIをどのように臨床業務のワークフローに組み入れていくか、がAI画像診断支援の実装に向けた今後の大きな課題です。今回は、AI画像診断支援の実装に向けた具体的な取り組みについて紹介します。
木田智士 | 3,712 view
日本が進めるAI画像診断支援①

日本が進めるAI画像診断支援①

AIによる医用画像診断支援を進めていくためには、大量の医用画像データが必要です。現在、日本の学会や研究所が中心となって、大規模な医用画像データベースの構築が進んでいます。今回は、その大規模データベース構築の現状について紹介します。
木田智士 | 3,773 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

エルピクセル編集部 エルピクセル編集部