2016年9月28日 更新

【認知症を調べるRI薬剤②】ダットスキャン

認知症を調べるためのRI薬剤であるダットスキャンについてご紹介します。ダットスキャンは、最近、認知症の検査において注目を浴びている核医学検査の1つです。

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ダットスキャンは、最近、認知症の検査において注目を浴びている核医学検査の1つである。

核医学検査とは、主に、放射線を放出する物質(放射性同位体:RI)を患者の体内に取り入れ、体外からその放射線を検出する。

ダットスキャンは、その中でも放射性ヨウ素(123I)を利用した検査であり、日本では久しぶりに登場した新しい検査として注目されている。
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この検査は以前より欧米で行われており、検査の安全性や有効性は確立された検査であるが、日本で認可が降りたのはつい最近のことで、日本メジフィジックス株式会社が専用の薬剤を販売している。

核医学検査の肝は、体内の特定の臓器に集積し、その臓器の代謝などの機能を調べることが出来ることであるが、脳組織はBrain Blood Barrier(血液脳関門)がある為に、組織を通過する薬剤が限られていた。以前から、てんかん焦点を調べる為の同様の薬剤や検査はあり、それも放射性ヨウ素を用いている。
ダットスキャンのダットはドーパミントランスポーター(DAT)の略であり、おもに黒質線条体ドーパミン神経に集積する。

黒質は、大脳基底核の中でも、認知や運動指令に重要な役割を果たしており、この黒質の機能が落ちると、認知や運動機能に支障をきたし、パーキンソン病やレビー小体認知症を発症する。

イオフルパン(123I)は、主に黒質のドーパミン分泌神経に集積するため、黒質が正常に役割を果たしていれば、集積像を観察することが出来る。
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写真は正常例
逆に機能が落ちていると、黒質へのRIのとりこみが少なくなり、欠損像をきたす。

ダットスキャンは、PET製剤のように、高価な薬剤や新たな装置を利用しなくても良い点、薬剤の寿命がある程度長い点にメリットがあると考えられる。

今後、超高齢化社会を迎える中、この認知症検査が脚光を浴びるようになるだろう。
<参考資料>
ダットスキャン静注R(日本メジフィジックス 医療関係者専用サイト)
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エルピクセル編集部 エルピクセル編集部